2025年10月22日(水)、AP赤坂グリーンクロスにて早稲田大学ビジネススクール牧兼充准教授との共同研究を記念したイノベーションセミナーを実施しました。
当日は会場・オンライン合わせて約50名が参加し、企業のイノベーション推進に携わる経営層・人事部門・事業開発リーダーなど、多様な業界からご参加いただきました。


セミナー概要
本セミナーでは、学術と実務の両視点から「日本企業におけるイノベーション創出の課題と可能性」をテーマに、以下のセッションを実施しました。
・基調講演「日本企業のイノベーションの失敗要因と処方箋」
登壇:早稲田大学ビジネススクール准教授 早稲田大学科学技術とアントレプレナーシップ研究所所長 牧 兼充氏
組織行動学と認知科学の観点から、イノベーションが停滞する背景を解明し、イノベーションを成功させるには、人間中心(Human-Centered)の視点と、科学的思考法(Evidence-Based)の両立が不可欠であると強調しました。
・特別講演「どうすればイノベーションはもっと起こせるのか?」
登壇:Startup Genome Japan代表 上智大学特任教授 西口 尚宏氏
イノベーション国際規格の ISO 56000 を基盤に、イノベーションは「価値の実現」であり、発明とは異なる概念であることを確認しました。組織が硬直化しやすい現実を踏まえ、往復型の検証プロセスと経営による一体的な仕組みづくりの重要性を呼びかけました。
・パネルディスカッション
登壇:牧氏、西口氏
モデレーター:株式会社シフト・ビジョン会長 大滝 令嗣
パネルディスカッションで議論されたポイント(抜粋)
- イノベーションを継続的に生み出すための条件として、トップの長期的なコミットメント(目安10年)が欠かせないこと
- 「成果が出なかったこと」よりも「学びがなかったこと」こそが失敗であるという視点の転換が重要である
- ISO 56000の考え方を踏まえ、機会探索から検証・開発・導入までを往復しながら不確実性を段階的に減らすプロセスの必要性がある
- 長期的な評価制度やインセンティブ設計によって挑戦を後押しし、各段階で「撤退基準(Affordable Loss)」を明確にすることが有効である
- イノベーションをCTO任せにせず、経営陣全員が責任を共有し、本体の資産と連動した仕組みを整えることの重要性が指摘された
- 中間管理職の育成や社外コミュニティ・越境学習などの多様な“場”づくりを通じて、組織全体の温度とエンゲージメントを高めることが鍵になる
・イノベーションプログラムのご案内(株式会社シフト・ビジョン取締役 加藤友希)
イノベーションを促進するために、個人・チーム・エコシステムの三層で支援を行うプログラムを紹介しました。
科学的思考と人間中心の視点を基盤に、社員・経営層双方へのトレーニングと、実践を通じた「イノベーションスタジオ」構築を提案しました。
参加者の声(一部)
「国際規格の議論をはじめ、イノベーションが起きる、起こすために重要な3点がわかりやすく納得感がありました。牧先生の講演、パネルディスカッションも学ぶことのできるポイントが多く、生かしていけたらと思いました。」
「イノベーションを起こせるか否か、また辛抱強く取り組めるか否かは、トップマネジメントの理解・覚悟・決断・戦略の打ち出し方次第であるということをあらためて認識できた。」
今後の展開について
シフト・ビジョンでは、「人間中心×科学的思考」に基づくイノベーション推進支援を各企業・組織の実情に合わせて展開してまいります。
今後は、牧兼充准教授との共同研究のもと、企業内イノベーションスタジオの構築支援や、経営層・社員双方を対象としたトレーニングプログラムを順次実施していく予定です。また、組織文化・制度設計・リーダーシップ育成の観点から、継続的に学びと実践を結びつける取り組みを進めてまいります。
ご興味のある企業様・ご担当者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。